メタンハイドレート

メタンハイドレートとは、メタンを主成分とする化石燃料のこと。

”燃える氷”と表現されることが多く、メタンと水が混じった氷状で海底に存在する。

世界中の海に広く分布するが、特に日本近海に多く存在することから、日本のことを「隠れた資源大国」と表現する例が増えてきました。

一方、採掘に伴って起こり得る環境へのリスクから、「悪魔の資源」と表現した例もあり、良くも悪くも注目度が高まっている物質と言えるでしょう。

実用化に向けての4つの課題

2013年4月、安倍政権は「2018年度をめどにメタンハイドレートの商業化を目指す」とする海洋基本計画を閣議決定しました。

さらに、メタンハイドレート関連事業をアベノミクスの成長戦略における柱とする事も併せて発表。

いよいよメタンハイドレートの実用化が現実味を帯びてきましたが、それには以下の様に様々な問題も指摘されています。これらをどう克服するかが今後の課題と言えそうです。

1) 採掘コスト

1990年代、日本で初期に研究が行われたのは太平洋側の南海トラフ(四国南部から愛知県辺りにかけての海域)でした。

この際のメタンハイドレートは泥や砂に混じった状態で存在していて採取が非常に困難であったため、「実用化は到底不可能なほど採掘コストが高い」と言われていました。

しかし、近年研究が進んでいる日本海側のメタンハイドレートは結晶状で存在しており低コストで採取できるため、実用化に至れば「LNG(液化天然ガス)の10分の1程度の価格で販売できるだろう」と期待されています。

2) 地球温暖化への影響

メタンハイドレートの主成分であるメタンはCO2の20倍の温室効果があるとされ、採掘に伴って大量のメタンガスが大気中に出れば地球温暖化を招くと問題視されています。

また、温暖化が進むことによって海水温が上がり、その結果メタンハイドレートが溶けさらに多くのメタンが放出されるという悪循環が起こるであろうという仮説も発表されています。

一方、メタンハイドレートはそのままでも少しずつ溶け出し大気中に放出されていることから、「むしろ燃焼させてエネルギー源とした方が温暖化対策になる」という意見もあります。


3) 地震誘発・地盤沈下の危険性

メタンハイドレートは海底の地層の中に存在するため、そこから採掘することによって地盤沈下を引き起こしたり、最悪の場合は巨大地震を誘発する危険性まで指摘されています。

しかし、関係者からは「メタンハイドレートのある地層は巨大地震の震源となりうる地点よりも浅いところに存在するため、地震を誘発する可能性は低い」という反論も上がっています。

どちらにしてもはっきりとした結論に至っておらず、今後の研究が望まれます。

4) 領土問題

近年ニュースなどで取り上げられる事の多い尖閣諸島や竹島の領土問題ですが、実は中国や韓国がこれら領土を通じて狙っている”真の目的”はメタンハイドレートを含む地下資源だと言われています。

尖閣諸島の海域では1968年に豊富な石油や天然ガスの存在が確認されており、その調査を機に中国からの領土主張が始まりました。

それら地下資源の埋蔵量は”イラクの全石油埋蔵量を超える”とも言われる程で、その経済的価値は一説によると7000兆円とも言われています。

メタンハイドレートの発見

実はメタンハイドレートの存在が世界で初めて確認されたのは1930年代のことです。

当時シベリアにおいて、天然ガスの輸送に用いられていたパイプライン内にたびたびある物質が詰まるという事故が起こっていました。

この物質を研究者が調べた結果、これがメタンと水の化合物質であることが確認され、資源としての価値が認められるようになりました。アメリカで話題のシェールガスと共に”非在来型の天然ガス”と呼ばれています。


日本におけるメタンハイドレードの現状

日本近海には天然ガスの年間消費量の100年分以上のメタンハイドレートが存在すると見積もられています。

1980年に南海トラフで発見されたのを機に1990年代までは主に太平洋側での調査が行われましたが、2000年代に入ってからは日本海側での調査も進んでおり、それぞれ異なった評価がなされています。

太平洋側

愛知県〜九州に至るまでの南海トラフ海域を中心に豊富なメタンハイドレードが存在するが、海底の地下深くに砂と交じり合った状態(砂層型)で存在しており、技術的にもコスト的にも採掘するのが非常に困難だと言われています。

しかし、2013年3月には愛知県沖にて「世界で初めて海底からのメタンガスの採取に成功」など、開発の進展度合いとしては日本海側よりも進んでいると言われています。

日本海側

近年になり民間企業が調査を行いメタンハイドレートの存在を確認しました。

しかも太平洋側と違い、海底の表面に結晶状態で露出しており(表層型)、低コストでの採掘が可能と言われています。

石油利権などが絡み長らく政府からの予算が下りない状態が続いていましたが、日本海側の都道府県からの要請を受け、2013年からようやく政府主導での調査・試掘が開始されました。



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